皆さんはミネラルという言葉を聞いて、どの成分が一番に思い浮かぶでしょうか?
カルシウム・鉄・亜鉛、色々とありますよね。
ミネラルの種類は現在で114種類も発見されており、その中で私達の体に欠かすことのできない「必須ミネラル」と呼ばれるものが16種類あります。
その「必須ミネラル」の中で、私達の健康を維持しあらゆる病気から守ってくれる「セレン」という成分について、今からご紹介していきます。
抗酸化作用とは?
呼吸によって体内に取り込んだ酸素の数%のうち、通常の酸素よりも活性化した状態を「活性酸素」と呼びます。
「活性酸素」は体内において様々な成分と反応し、過剰に増え過ぎると細胞にダメージをもたらします。これを「酸化ストレス」と呼びます。
「抗酸化作用」は「活性酸素」による「酸化ストレス」を抑える作用のことを表します。
活性酸素の予防や除去する作用
「活性酸素」は加齢と共に増えると言われていますが、ストレス・タバコ・飲酒・紫外線・不眠など、日々の生活習慣の乱れも「活性酸素」が増える要因として挙げられます。
生活習慣の乱れで「活性酸素」が増えるのならば、規則正しい生活を送れば「活性酸素」の発生を抑えることに繋がります。
「ストレスを感じた時はリラックスする時間を設ける」「タバコやお酒はほどほどに」「季節に限らず紫外線対策を行う」「質の良い睡眠を心掛ける」などです。
日々の生活の中で意識して取り組むことで「活性酸素」を抑える生活術が身に付くでしょう。
抗酸化作用のメリット
「活性酸素」は細胞伝達物質や免疫機能として働く一方、過剰発生は正常な細胞を攻撃し、ガン・心血管疾患・生活習慣病・老化促進などあらゆる疾患の要因、つまり万病の要因となります。
「抗酸化作用」はその「活性酸素」の働きを抑制する作用を持ちますから、万病の要因を防ぐ必要不可欠な作用です。
酸化されやすい物質を「抗酸化物質」と呼ばれるのですが、「活性酸素」によって体内の細胞が酸化されるより前にこの「抗酸化物質」が酸化されます。そうすることで体内の細胞が酸化から防御され、細胞が無傷でいられるのです。
抗酸化作用を持つ微量ミネラル「セレン」とは?
必須ミネラルの一つと呼ばれる「セレン」。
必須ミネラルとは人間の体内にあるミネラルの中で、必要不可欠な栄養素であることが判明しているものを差します。
「セレン」は主に土壌・水・特定の食品に含まれる高い抗酸化作用を持つミネラルです。
これから詳しくご紹介していきます。
酵素の成分となり、体の酸化を防ぐ
「セレン」は抗酸化反応を司る酵素やタンパク質を構成し、体内の抗酸化作用に重要な役割を担っています。
老化の原因と言われる、体内が脂質で酸化される「過酸化脂質」の生成を抑制及び分解に関わる抗酸化酵素を構成する成分です。
優れた抗酸化作用を持つことから、老化やガンなどの予防効果が期待できると注目を集めています。
この働きは「過酸化脂質」の生成を防ぐビタミンEと一緒に摂取することでより効果が発揮されます。
ただ、「セレン」は他の微量ミネラルと比べて毒性が強く、必要量と中毒量の差が非常に小さいのでサプリメントなどで摂取する時は注意が必要です。
吸収率は90%程度!
一般的にミネラルは吸収率が低く、良くても十数%程度だと言われています。
鉄分の場合だと吸収率は高くても約7%ほどです。
しかし、「セレン」は食事によりタンパク質と結合しセレンアミノ酸として存在しています。
消化管からの吸収率が高く、体内に摂取した「セレン」の約90%が吸収されると言われています。
体内に摂取したセレンの濃度は排尿によって調節されていると考えられます。
セレンの1日の摂取量の目安は?
「セレン」1日の摂取量目安
- 男性(18歳以上)30㎍
- 女性(18歳以上)25㎍(※妊娠中は30㎍・授乳中は45㎍が推奨量とされています。)
男女共にほぼ摂取目安量に大差はありません。
通常の食生活において「セレン」を自然と摂取できるので不足を心配する必要はありません。
ただ、サプリメントによる摂取を考えているのであれば過剰摂取に注意が必要です。
特に女性は妊娠・授乳中の方は胎児や乳児に「セレン」摂取の影響が及ぶかもしれませんので、医師と相談や指導を受けるようにしましょう。
微量ミネラル「セレン」の過剰摂取のリスク
「セレン」は他のミネラル分と比べ毒性が強く、また必要量と中毒量の差が小さい為に、サプリメントで「セレン」を摂取している方は特に注意が必要です。
「セレン」過剰症は、「爪の変形」「脱毛」「下痢・腹痛などの胃腸障害」「疲労感」「筋肉の痙攣」「関節痛」などが挙げられます。
過剰症のサインとして、「息からニンニク臭がする」「口の中から金属のような味を感じる」という場合は「セレン」過剰摂取の可能性とてみていいでしょう。
微量ミネラル「セレン」の欠乏症のリスク
通常の食生活において「セレン」が不足することは、ほぼありません。
ただ、透析治療を受けている患者、肝硬変や食欲不振の症状を抱える患者には「セレン」欠乏症の症状がみられることもあります。
「セレン」欠乏症は、「爪の白色化」「不整脈」「心筋症」「筋力低下」「皮膚の乾燥」などが挙げられます。
医療患者のみならず、土壌中の「セレン」濃度が極端に低い地域において「セレン」欠乏症を発症する例が確認されています。
微量ミネラル「セレン」が多く含まれる食品TOP5!
- 『魚類』かつお節(セレン含有量320㎍)
- 『香辛料』カラシ(セレン含有量290㎍)
- 『肉類』豚肉(腎臓)(セレン含有量240㎍)
- 『肉類』牛肉(腎臓)(セレン含有量240㎍)
- 『魚類』アンコウ(肝)(セレン含有量200㎍)
※食材100gあたりに含まれる「セレン」含有量です。
上位5位を総合的に見てみると、「魚類」と「肉類」に豊富に「セレン」が多く含まれています。
日々の食生活の中で「セレン」が欠乏することはほぼ稀であることがお分かりいただけたでしょうか?
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ミネラルの中でもダントツの抗酸化作用と高い吸収率を誇る「セレン」は普段何気ない食事の中で必要量が摂取できていることが分かります。
老化とガンの予防効果がある「セレン」は積極的に取り入れたいところでしょう。
しかし、だからと言って「セレン」が豊富に含まれる魚類中心の食事は注意してください。
「セレン」は欠乏症よりも過剰症のリスクが大きいので、「セレン」の摂取目安量を意識して、いつまでも若々しく健康な生活を送りましょう。
コメント