高血圧症が「サイレント・キラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれる所以をご存知ですか?
高血圧という状態だけでは自覚症状に乏しく病気であると認識することがなかなか難しいにも関わらず、その状態が続くと心筋梗塞や脳卒中、腎臓病といった重大な病気を引き起こす要因となるからです。
高血圧症とは上の血圧が140mmHg、下の血圧が90mmHg以上となる病気です。
WHOによると至適血圧は上が120、下が80mmHg未満と言われています。
高血圧症の原因は遺伝的な側面もありますが、環境的な側面(過剰な塩分摂取、肥満、ストレス、過剰な飲酒等)が大部分を占めています。
そのため腎臓の病気やホルモン異常といった,血圧上昇の原因となる病気がはっきりしている場合を除き、なんと、ほとんどの高血圧症は生活習慣を見直すことで改善が期待できます。
今回着目したのは私たちの身近にある飲料水です。
今高血圧症で悩んでいる方は将来の自分の身体のために、ぜひ読んでみてくださいね。
高血圧におすすめな飲み物は?
先ほど高血圧症の原因の大部分は生活習慣だとお話ししました。
高血圧症には塩分を控えめに、などの話はよく聞く話ですが、これまでの食生活を減塩食に変えるのはなかなか大変です。
頭では分かっていても慣れた味から味付けを変えるとどうしても味気なく食後の満足感も得られにくいですし、普段料理をする機会が少ない方にとってはハードルが高いのではないでしょうか。
そこで今回着目したのはミネラルウォーターです。
人体の約60%は水分でできています。
摂取量は個々で違えど水分補給をしない人はいないですよね。
生活を見直したいけどなかなか重たい腰が上がらない…そんな方はぜひ普段飲んでいる水から変えてみてはいかがでしょうか?
硬水のミネラルウォーター
飲料水が高血圧の改善の糸口になるのではないか、という研究結果が発表されたのは2019年の5月。
研究を行なったのはエモリー大学のナセル研究員らで「アメリカ心臓協会ニュース」等で報じられました。
バングラディッシュ沿岸地域の住民が海水の混じった水を飲んでいることから真水を飲んでいる人との健康状態を調査比較したところ、海水がわずかに混じった水を飲んでいる地域の人の方が、血圧が低くなる傾向が見られました。
塩分過多は高血圧の大敵では?と思った方も多いでしょう。
この現象について、海水には塩分(ナトリウム)以外にカルシウムとマグネシウムが豊富に含まれていました。
つまり、精製された真水よりミネラルが豊富だったことが血圧を下げた要因ではないか、とのことだったのです。
ミネラル豊富な硬水のミネラルウォーター、予防や症状改善のために試してみる価値はありそうですね。
ただし、日本の飲料水のほとんどが軟水でミネラルの含有量が少ないものばかりです。
お腹が緩くなるなど体質的に合わない場合もあるので初めて飲む際は少量ずつ飲んで体に不調がないか確認する必要があります。
1日コップ2〜4杯を目安に摂取すると良いでしょう。
その他におすすめな飲み物
ミネラルが含まれる硬水のミネラルウォーター以外にも高血圧症の予防・改善が期待できる飲み物をご紹介します。
まずは、言わずと知れたお茶です。
緑茶は継続的な飲用が発症リスクを低くし、ドクダミ茶はカリウムが豊富に含まれることでナトリウムを身体の外に出しやすくします。
塩分の取り過ぎを調整してくれるのですね。
他にもポリフェノールの含まれるココアや赤ワイン、血圧を下げる効果が期待できるお酢や乳酸菌飲料、ミネラルの豊富な牛乳や野菜ジュースもおすすめと言えます。
自分の生活や嗜好に合ったものをぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
ただし取り入れる際に注意して欲しいことがあります。少し深掘りしてみましょう。
高血圧なら控えた方が良い飲み物
高血圧症の予防改善に効果の期待できる飲み物を紹介してきましたが、逆に控えた方が良い飲み物は何があるでしょうか?
せっかく体に良いものを取り入れようとしているのに、これまで日常的に飲んでいたものが高血圧症にとっては悪影響だった、飲み方や頻度によってはかえって良くない、といったことも考えられます。
ここまで読んでくださった方はこれから生活習慣を変えたい!と前向きに取り組んでいる意識の高い方だと思います。
ぜひ正しい知識を身につけて今後の生活に役立てていただけたらと思います。
糖分の多い飲み物
ジュースや炭酸飲料など糖質が多い清涼飲料水は飲み過ぎると高血圧のリスクを高める要因となります。
塩分だけじゃなくて糖分も?と思った方もいらっしゃるかも知れません。
糖質は摂り過ぎるとエネルギーとして使われず、余った糖が中性脂肪となり内蔵や皮下脂肪として体内に蓄積されていきます。
このうち内臓脂肪が増え過ぎると腎臓の塩分排出機能を阻害してしまい、肥満につながるだけでなく高血圧のリスクも高めてしまうのです。
果物系の野菜ジュース
野菜ジュースといえばどんなものを思い浮かべますか?トマトジュース系、野菜果実ミックス系、青汁系…と野菜ジュースと言っても様々な種類があります。
多くの野菜ジュースは野菜特有の青臭さやエグさを打ち消すためにリンゴや柑橘系の果物を配合しており、糖質を多く含んでいるものも少なくありません。
野菜不足を補うヘルシーなイメージが湧きますが、よく見かける200mlの紙パックに、なんとスティックシュガー3〜5本分もの糖質が含まれています。
よっぽど甘党の方でない限り、コーヒー1杯に基本はスティックシュガー1本ではないでしょうか?
先述したように、糖質過多も高血圧の要因になり得ます。
もちろん、糖質オフのものや青汁タイプであれば通常のものと比較し糖質は制限できますが、味が薄い、苦味が強い、といった多少の飲みにくさは否めません。
また人工甘味料を使用しているものもあり注意が必要です。
お酒
血圧が心配だからとお酒を我慢している方もいらっしゃるかもしれません。飲む際に気をつけたいのはお酒の種類と量です。
アルコールは血管を膨張させる働きがあり飲酒後すぐは一時的に血圧が下がりますが、翌朝は高くなってしまいます。
また日頃からアルコールを飲み続けていると高血圧になりやすいことが分かっています。
どうしてもやめられないのであれば、ビールなら1日に500ml(ロング缶1本程度)、日本酒なら1合程度に控え、週に1回は休肝日を設けることが大切です。
また蒸留酒(ウイスキー、焼酎、ブランデーなど)は不純物が混じっていないため、グラス2杯ほどであれば良いですが、アルコール度数が高めのものが多い傾向にあるため水で薄めて飲む方が良いでしょう。
アルコールの中でも、ポリフェノールを豊富に含んだ赤ワインは高血圧の方でも飲むことができます。
フレンチ・パラドックスという言葉をご存知でしょうか?
フランス人は脂っこい食べ物をよく食べ、喫煙率も高いにも関わらず動脈硬化患者の比率が少なく、心臓病の死亡率も低いのは赤ワインのおかげではないか、というものです。
赤ワインに含まれるポリフェノール、その中でも特に「レスベラトール」という成分に動脈硬化や脳梗塞を防ぐ抗酸化作用があるためだと考えられています。
高血圧におすすめなミネラルウォーター7選!
様々な飲み物について言及してきましたが、ここでは手軽に生活に取り入れやすいミネラルウォーターについて掘り下げて話していきたいと思います。
ミネラルの中でも特に血圧の低下に関与するのはマグネシウムとカルシウムでしたね。
日本の水道水はほとんどが軟水であるため日本人にとっては馴染みが少ないミネラル成分の多い硬水。
成分もそうですが飲みやすさも加味しておすすめのミネラルウォーターを紹介していきたいと思います。
コントレックス
言わずと知れた硬水の代表銘柄で、カロリー0で、カルシウム468mg/L、マグネシウム74.5mg/L、カリウム28mg/L(1500mlあたり)と不足しがちなミネラルを摂取できる超硬水です。
苦味があり喉につっかえるような重たさがあるため口当たりは独特で硬水初心者にはやや不向きかも知れませんが、美容や健康意識の高い方にも定評のあるコストパフォーマンスにも優れたミネラルウォーターです。
クールマイヨール
イタリアの硬水として人気であるだけでなく世界的に見ても硬度が高い水として知られ、カルシウム55.7mg/L、マグネシウム6.8mg/L、カリウム0.3mg/L、サルフェート142.3mg/L(100mlあたり)とミネラル豊富です。
甘みがあまりなく、薬のような苦味が目立ち硬水独特の喉に引っかかる感覚があります。
硬水に慣れている人向きの味わいで好みは分かれそうですが、サルフェートが多く含まれているためデトックス効果がありダイエットに最適で、利尿作用によって二日酔いの緩和なども期待できます。
エビアン
コンビニなどでもよく見かける有名なミネラルウォーターですね。
成分はカルシウム8.0mg/L、マグネシウム2.6mg/L(100mlあたり)とカルシウムとマグネシウムの比率が良いのが特徴です。
カルシウムを多く摂りすぎるとマグネシウムの排泄が増えてしまうため、2〜3:1の割合で摂取すると良いのだそう。
飲みやすく入手しやすいため硬水初心者におすすめのミネラルウォーターといえます。
ペリエ
ピレネー山脈付近の地殻変動により炭酸ガスを含む地層と地下水の地層が偶然出会ったことで誕生した炭酸水です。
成分はカルシウム149mg/L、マグネシウム7mg/L、カリウム1.4mg/L、サルフェート42mg/L(1000mlあたり)となっています。
重炭酸水が含まれることで胃腸機能を高め血行促進、疲労回復も期待できます。歴史も古くおしゃれな外観が特徴的です。
ソランデカブラス
約3600年以上前に地表にしみ込んだ雨水が7つの層をゆっくり流れ濾過されたものがソランデカブラスの水です。
採水後紫外線から守るためにブルーボトルにすぐにボトリングされます。
成分はカルシウム5.94mg/L、マグネシウム2.56mg/L、カリウム0.11mg/L(100mlあたり)となっています。
やや割高ですがクセもあまりなく飲みやすいという口コミが多いミネラルウォーターです。
ボトルの口が大きいので氷も入り、水筒がわりにリユースしている、という声もありました。
ゲロルシュタイナー
天然の炭酸含有で硬水特有の飲みにくさもない、カルシウムとマグネシウムの比率も良いミネラルウォーターです。
成分は、カルシウム180mg/L、マグネシウム50mg/L、カリウム5〜9mg/L、重炭酸イオン885mg(500mlあたり)となっており、重炭酸イオンが含まれていることにより血行促進、疲労回復も期待できます。
硬水の飲みにくさが苦手だけれどミネラル豊富なものがいい!という方にはもってこいの銘柄ではないでしょうか。
ロスバッハー
成分を見ていただければ分かるように、カルシウム22.4mg/L、マグネシウム10.9mg/L、カリウム0.37mg/L(100mlあたり)とカルシウムとマグネシウムが2:1の理想的なバランスで含まれています。
そのためミネラルを体内へ素早く、また効率よく吸収することができます。
汗をかいた後やスポーツ後にもおすすめです。
飲みやすいように炭酸水に仕上げていますが、炭酸なしのタイプも販売があります。
元F1ドライバーのミハエル・シューマッハがスポーツドクターに勧められ長く愛飲していたことでも知られています。
まとめ
いかがでしたか?できることなら血圧のことなど気にせず好きなものを食べて過ごしたいですよね。
ただ…何もせずその生活を続けていると気づかないうちに体が蝕まれているかも知れません。
健康診断で高血圧症と診断されたけど一体何からはじめて良いかわからない、減塩食等を気にかけているけどなかなか徹底してやることが難しい、など悩んでいる方はまず手軽に試すことのできる硬水のミネラルウォーターを取り入れてみてはいかがでしょうか?
高血圧症は生活習慣を見直せば症状の改善が期待できるものです。
その1杯が今後を左右するかも知れません。あなたの生活により笑顔が増えますように、その一助となれば幸いです。
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